【女性向けボイス】上手な溺れ方「もっともっと、どうしようもねぇくらいに駄目なとこ見せろよ。」






(衣擦れの音)

…おう、起きたか。おはようさん。
…今? まだ七時前だよ。もうちっと寝ててもかまわねぇぜ。
…俺はいつから起きてんのかって? そうだなぁ…十五分くらい前か?
この部屋、朝の光がモロに入ってくっから、眩しくて起きるんだよ。

…なにしてたのか、って…。
お前の間抜けな寝顔を拝んでたんだよ。
…っはは、悪い悪い。
っつーかお前、爪切れよ。見ろ、俺のこの腕。肩。

…野良猫にでも引っ掻かれたのかって?
そうそう、近所に凶暴な野良猫が――って、とぼけんじゃねぇ! お前だよ!
…覚えてないって…。当たり前だ。わざとやってたとかぬかしやがったら、今すぐベッドから蹴り落とすぞ。

背中もひりひりすっから、ぜってぇ背中も傷だらけだぜ。ちょっと見てみろよ。
…なにも見えない? 馬鹿野郎、目ぇかっぴらけ! そんで俺の背中という名の現実をしっかり見ろ!

…やっぱ傷だらけか。…で、なんか俺に言うことあるんじゃないですかねぇ。
…男前に磨きが掛かった? ちげぇだろ! もっと他にあるだろ!
…名誉の負傷? なんでだよ! ごめんなさい、だろ!

…そうそう。最初っからそうやって素直に謝ってりゃいいんだよ。
あと、ちゃんと爪切れ、お前。俺の体は爪とぎする場所じゃねぇ。
…なんだよ。
…あ? お前のその痕は…あれだろ。キスマークだろ。

…俺も痕残してるじゃねーかって?
アホか。キスマークと爪痕を一緒にすんじゃねーよ。
俺は今日からしばらく、風呂に入るたんびに傷が染みて痛い思いすんだぞ。もっと俺を大事にしやがれ。

…私のことも大事にしろ、って…。
してるじゃねーかよ。自分で言うのもなんだが、お前以上に大事にした女は他に居ねぇぞ。
…腰が痛い?
あー、それは…はは、悪かったな。ちっと頑張りすぎちまったかねぇ。

…そんな顔すんなよ。しょうがねーだろ。なんつーか、お前、その…可愛いんだよ。
可愛いから、抑えが利かなくなっちまうんだ。大事にしてねぇわけじゃねーよ。
…っふ…。
…いや、なんか変な感じだと思ってよ。

…俺、お前と付き合うまでは…正直、その…あんま彼女と長続きするタイプじゃなかったんだよ。
なんでかわかんねーけど…好きなんだけど、そこまで必死になれねぇっていうか…。
ちゃんと可愛いと思ってたし、ちゃんと大事にしたいと思ってるつもりだったし、ちゃんと…好きだったはずなんだけどなぁ。

なのに、振られてもべつに引き止める気になれなかったんだよ。ありゃあ、なんでだったのかねー。
お前に振られたら、その足に縋りついてでも引き止める自信あるんだけどな。
…怖い、ってなんだよ。もっと言葉選びやがれ。俺だって傷付くときは傷付くんだぞ。

…なぁ、こっち来いよ。
(衣擦れの音)
…ほっそい体だな。もっとメシ食えよ。本気で抱きしめたら、骨の一本や二本折っちまいそうだ。
(リップ音)

…さっきさ、俺、お前に爪切れって言ったろ?
この爪痕よ、ひりひりするし、実際いてぇんだけどよ、でも…なんでかわかんねぇけど、痛いのに、それほど嫌じゃねーんだよなぁ。
おかしな話だよな。痛いことって、ほんとは嫌なことのはずなのによ。
(ディープキス音)

お前と付き合ってから、なんか、こんなんばっかりなんだよ。
妙に必死になっちまったり、痛いのに嫌じゃなかったり。
俺、相手を束縛するタイプでもなかったはずなんだが、お前が男と電話とかで話してたら、なんか…落ち着かなくなるしよ。

…ガキに戻ったみてぇだ。みっともねぇな。
なんで恋愛って、かっこつけたい相手に限って、うまくいかねぇんだろうな。
一番かっこいいとこを一番好きな相手に見せてぇって思うのに、実際は一番ダメなとこ見られちまったりする。

…ん? …なんだよ、慰めてくれんのか?
…俺の駄目なとこが好き、って…。それ、ちっとばかし微妙だなー。
(リップ音)
俺ばっか駄目なとこ見せんのも不公平だから、お前ももっと駄目なとこ見せろよ。

…見せてる? はっ、こんなんじゃ全然足りねぇよ。
もっともっと、どうしようもねぇくらいに駄目なとこ見せろよ。
そしたら、その駄目なとこ全部ひっくるめて、やっとお前を丸ごと愛せる。俺も、俺の全部をお前に見せてやれるよ。

(リップ音×三)
相手のいいとこ見ても、キスしても、抱いても足りねぇんじゃ、もう相手の駄目なとこも全部見ねぇと、どうしようもねぇ。
…どうしようもねぇんだよ。抱いても抱いても、まだ足りねぇような気がするんだ。

「欲しい」っつーのは、こういう感覚なのかもしれねぇな。
今までの俺は「欲しがってるふり」してただけなのかもしんねぇ。
恋愛に熱くなってるやつらがちょっと羨ましくて、恋愛に溺れてみてぇって思いながら、でも変に泳ぐのがうまいもんだから、うまく溺れることが出来てなかったんだ。きっと。

そりゃ、そうだよな。溺れるっつーのは、意識してやるもんじゃねぇ。それを、そもそも俺はわかってなかったんだ。…お前に会うまで。
…っふ…お前が、俺に溺れ方を教えてくれたっつーわけだ。

お前と一緒になって、初めて「恋愛する」っつーのがどういうことか、わかったような気がするよ。
…あーあ、なんか柄にもないこと語っちまったなぁ。

…なぁ、もうちっとこのままでいていいか?
…変なことしねぇかって? それは約束しかねるな。
…っはは、まぁそのへんは、愛情表現ってことで大目に見てくれよ。

好きなやつに触りてぇって思うことは、普通のことなんだからよ…。



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