【女性向けボイス】幼馴染は家庭教師「もうお前が俺のそばから離れるなんて、想像できない」



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イラスト:ももも様

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台本

おい、ここ問2。また間違えてるぞ。

 

ここはこっち数式を当てはめて解くって、さっきから言ってるだろ。え、分からない……って。

 

あのなー。この前高校で提出した進路表、俺と同じ大学、第一希望にして出したって言ったよな。

 

大学生は余裕があって良いなって……年だってひとつしか変わらないだろ。俺だって高3のときは必死で勉強したよ。

 

それに、最初に数学教えてくれって言ったのお前だろ。幼馴染のよしみで、久しぶりに俺の部屋まで来たんだから、もう少し勉強に気合い入れようぜ。

 

(紙を持つ音)

 

……にしてもお前、昔から数字が苦手だよな。小学校のときの算数も中学の数学も散々だったし。

 

ま、そう考えれば今回のテストの点数も想像が付いてたけど、赤点ギリギリってのはちょっと厳しくないか。追試は免れたとはいえ、この点数じゃ大学に入れるかどうかも危ないだろ。

 

数学が苦手なだけ? まぁ、確かに総合点は悪くない。でも、数学だけ極端に悪いとか良くないから。数学で足引っ張って、平均点下がるとかもったいないし。

 

とりあえず、次のテストは点上げてこうぜ。俺がちゃんと教えてやるから、この問題一から解いてみるぞ。

 

……あ、待て待て。早速ここに当てはめる数式間違えてるって。ったく、さっき教えたばっかのところ。初歩的なミスしてると、全問間違えるから気を付けろってあれほど。

 

……って、お、おい、いきなりどうした。下向いて。気分悪いのか? 気分悪いなら休憩しようぜ。……は、違う?

 

もしかして、お前、泣いてんの?

 

泣いてないって、嘘つけ! こっち見てみろよ。……ほら、こんなに涙流して。お前、泣くほど数学が嫌いだったのか?

 

あ、いや、俺が何か気に障ること言ったとか。

 

もう、私のことは放っておいて……そういうわけにはいかないだろ、第一お前が教えてくれって言うから部屋に呼んだわけで。

 

……っ、悪い。俺の言い方がきつかった。

 

お前が人一倍頑張り屋なのは、昔から知ってるはずなのにな。お前の気持ちも考えないで、俺が焦ってただけかも。

 

大丈夫だよ。もう泣くな。だから、もう一回この問題やり直そうぜ。

 

<時間経過>

 

ここもOK、こっちも。よし、全問正解! よくできたな。短時間でこれだけ理解できるんだから、今までやり方が間違ってただけじゃないのか。

 

俺の教え方がうまいって? はは、よく言うよ。さっきまで「できない~」って泣いてたのは誰だよ。今じゃケロッと笑ってんだから、ホント見てて飽きないよな。

 

やっぱ、笑顔でいる方がお前らしいわ。

 

あー、あのさ……さっきはマジで悪かった。お前の気持ちを考えないできついこと言ったっていうか……。

 

数学ができないのは本当のことだからって……いや、そういう意味じゃなくて。俺の気持ちが焦ってたとはいえ、女を、好きな奴を泣かすなんてマジでありえないから。

 

おい、なんだよ。急に固まって。それに、顔が真っ赤だぞ。

 

好きな奴? そうだよ、俺が好きなのはお前だって……って、もしかして、ガキの頃からずっと一緒にいたのに今まで気付いてなかったとか無いよな。

 

その顔、初めて知ったって顔だな。もともと鈍い奴だとは思ってたけど、まさかここまで鈍感とは想像以上だぜ?

 

じゃあ、ちゃんと聞けよ。改めて言う。

 

俺は、ずっとお前のことを見てきた。笑ってるときも、落ち込んでるときも、それに泣いてる時も。頑張ってる姿だって、誰よりも知ってるつもりだ。いつも一生懸命だったよな。

 

最初はそんなお前が放っておけなかった。俺がひとつ年上で、俺たちは兄妹(きょうだい)みたいに育っただろ。だから、いつも俺の後ろを着いてくるお前を守らなきゃいけないって、ガキの頃から思ってた。

 

だけど、いつからだろう……お前のことを女として意識したの。

 

日に日に綺麗になってくお前から、目が離せなかった。いつか他の男にとられるんじゃないかって、俺のそばから離れてくんじゃないかってマジで焦った。

 

だから、お前が俺と一緒の大学行きたいって言ったときは心底嬉しかったよ。これから、お前のそばに居られると思うと、全力でサポートしようと思った。

 

でも、なんだよ。昔から数学が苦手だからって、あんな点数取ってきて。もうお前が俺のそばから離れるなんて、想像できない。どうにかして、お前の成績を上げてやりたいと思った。

 

だから……さっきはつい、きついこと言った。ホントごめん。

 

なんだよ、俺の言うことが信じられないってような顔して。は、冗談でこんなこと言うわけないだろ。

 

って言っても、いきなり言われても心の整理がつかないってか。じゃあ、ひとつだけ聞く。お前はどうなの? 俺と一緒の大学受けるの、受けないの?

 

っはは、そんなムキになんなくても分かったって。じゃあ、一緒に勉強頑張ろうぜ。

 

じゃあ、一緒の大学に行くってのを目標にして、これからは俺がお前の家庭教師をしてやるから。お前がわからないところは、ちゃんと教えるよ。

 

え、さっきみたいに厳しいのは嫌だ? 優しく教えてくれって。

 

そうだなー、悪い。それは約束できないかも。お前の成績とやる気次第では、俺だって厳しくなる時もあるだろうし。

 

……あ、そうだ。じゃあ、お前が頑張ったらご褒美をやるってのはどうだ。それなら文句ないよな?

 

ご褒美に何をくれるかって? ……じゃあわかった。ちょっと目、閉じて。

 

いいから目を閉じろって。

 

(チュッ)

 

キャ……って、おいおい、いきなり叫ぶことないだろ。ちょっと頬にキスしたくらいで。ご褒美が欲しいって言ったのはお前だからな。

 

お前、かわいいな。顔が真っ赤だぜ。

 

今回は頬にキス……だけど、数学のテストで満点取ったら唇にキス……っていうご褒美はどうだ。

 

よし、決めた。次の数学のテストで満点取れるように、勉強教えてやる。今日から毎日俺の部屋に来ていいから。わかったな。

 

大丈夫だって、俺がずっと付いててやるから……だから、勉強頑張れよ。



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