台本
(インターホンが鳴り、ゆっくり移動をしてから、玄関を開く)
おーい、大丈夫かー?
お前の友達から、お前が風邪ひいてるーって聞いてよ、飛んできたんだけど…。
なっ、おいあんまり無理すんなって!
別に俺は、お前に風邪をうつされたって構わないからよ~。
中、あげてくれったら。
どうせろくに飯も食べれてねーんだろ?
俺がおかゆでも作ってやるから。
大丈夫だよ、平気平気。俺が昔から弟たちに料理してたのはお前も知ってんだろー?
お前が望む通りの味付けにしてやっから、お前はゆっくり寝てなさい。
お前さぁ、今絶対にしんどいだろ? 寝とけ寝とけー。
あぁ? 俺が片付けもせずに帰るような男に見えんの?
んな中途半端なことすっかよ。片付けまでしてから帰るから安心しとけ。
って、おい大丈夫かよ!? 玄関まで歩くのすらしんどいとか……あー、もう!(焦っている)ちょっと体、触んぞ!
よい、っしょっ!(彼女の体を持ち上げてお姫様抱っこ)
バカ、風邪で体壊してんだ、あんま無駄な力使ってんじゃねーよ。
じたばたせず、俺の首にでも腕をまわしとくんだな。
俺だって女の子をお姫様抱っこするなんて初めてだし……いくら幼馴染相手にだってドキドキしてんだ、バカ。
ほら、寝室に運ぶぞ。って、お前本当に体熱いな……汗で服も湿ってるし…。
とりあえずまずはベッドにおろすからな…よっ、と…。
お前、こんなんなる前に病院行けよ。
なんでいっつも自分の力だけでどうにかしようとすんのかねぇ。
お前のいいところだけど、まぁ、悪いところでもあるよな。
俺はお前のそういうところも好きだけど…。
さっ、汗拭いてやろうか?
すまんすまん! そんな怖い目して睨むなって!
別に変な気があるとかじゃなくって、汗拭いたほうが寝やすいだろう?
俺は良かれと思って言っただけで……お前しんどそうだし、背中とかは自分じゃ拭きづらいかと思っただけで。
分かってる?
分かってんなら最初から拒絶すんなよ。
そんなに俺は信用がないもんかねぇ…。
心配なら全部脱ぐ必要もないし、手が届かない背中とかを拭くタイミングだけ俺を呼んでくれりゃいいから。
タオルはすぐ濡らしてくるからちょっと待ってろー。
(タオルを濡らし、戻ってくる)
どうする? 先に自分で拭くか? それとも俺が初めに拭いちまうか?
おっけ、じゃあ先に背中だけ拭いちまうから……今着てる服はまだ脱がなくていいから、後ろのほうだけ服をあげてくれ。
あぁ、ありがとう。
…じゃあ、拭くからな…ごくり(緊張で喉を鳴らす)。
(背中を拭きながら)
大丈夫か? タオル冷たすぎたりとかしないか?
そう、気持ちいいならいいんだ。
…お前の背中、綺麗だな(呟く)
あっ、すまん、本当変な意味もないし、ただ気が付いたら口から出ちゃったっていうかさ。
綺麗なんだよ、無駄に触ったりとかは全く考えてないけど……
でも、お前に触れることができる男がいつか現れちゃうんだろうな…。
お前に触れるのは俺だけの特権ならいいのに(呟く)
よっし、背中は拭いたからあとは自分で拭いてくれ。
その間俺はおかゆを作ってくるから。
使ったタオルもそのままにしてくれたらいいから、俺が洗っておくし。
んっ、どうした? (振り返った感じで)
もしかして俺が離れるのが寂しいのか?
いたっ! いたいなっ、一々叩くなよ。風邪ひいてても乱暴だな、お前は。
でも、お腹がすいてないんだったらお望み通り、お前の隣にいてやるよ。
ただ体を拭いて着替えが終わってから、な?
さ、お前に背を向けてるから、背中を拭いちゃいなさい。
大丈夫、俺は別にいなくならないから…。
弱ってる時ってのは不思議と寂しくなるっていうかさ、ちょっとだけ人肌が恋しくなる時もあるし。
いいよ、弱ってる日ぐらいは俺を頼ってくれ。
本当は風邪をひき始めてすぐ頼ってくれたら嬉しかったんだけど、まっ、お前には無理か(微笑む)
でもお前が頼れるのは幼馴染の俺くらいだろ?
俺は絶対にお前の傍を離れない、迷ったり、弱ってる時には一度立ち止まって周囲を見渡してくれよ。そこに俺は確実にいるから。
なんてちょっと湿っぽくなっちまったな。
汗、拭き終わったか?
おうっ、終わったんなら後は……替えの服はどこかなぁ…。
そこのタンス? おっけ、じゃあ開けるけど、いいか?
だから無駄な心配はすんなって。別に下着とかを見つけるわけじゃ……あ。
(間違えて下着が入っているタンスの引き出しを引いてしまった)
いや、だから、別に…わざとじゃなくって、(すぐに閉める)
こっちな? こっちにあるんだな?
(再び引き出しを引く)
ふぅ…よかった。確かにここだったわ。
適当なの選ぶけどいいかー? ……いいんだな、じゃあこれでいっか。
ほら、これに着替えて一度寝ておけ。
俺は部屋から出ておくから、その間に下着も取って着替えておいてくれ。
着替え終わったら呼べよ? またお前の傍にいてやるから。
(部屋の外に出て行く、主人公。ある程度時間が経ち声をかける)
(部屋の外から)
着替え、終わったか? おう、終わったんだな、じゃあ開けるぞ?
(扉を開く)
ちゃんと着替え終えてるじゃねーの。よかったよかった、着替えすらままならないくらい弱ってるかと思ったぜ。
問題なく着替え終わったんなら…ほら、また横になってくれな。
お前が眠るまで傍にいてやるし、帰る前にはおかゆも作っておくから……起きたら食べればいいさ。
ほら、ベッドに横になってよ、目つむってみろ。
なに、手? 眠るまで手を繋いでいて欲しいって……ホントにお前、風邪をひくと別人みたいに甘えてくんのなぁ。
普段からそんなんならもっと可愛げがあんのによ。(呟く)
今のお前なら、俺の告白を受けいれてくれるんだろうな(呟く)
別に今のお前には関係ねーよ。気にせずに寝な。
お前の風邪が治ったら……また言うから。
おやすみ。風邪、ちゃんと治せよ。