系統的脱感作法とは、
ある精神科医が
恐怖症に対する治療法として
提唱した方法です。
現在ではスタンダードな
治療法として有名です。
例えば、
対人恐怖症の人というのは
今まで人との関わりの中で
嫌な条件付けがされている可能性が
とても高いです。
条件付けを「パブロフの犬」を
例に出してみましょう。
犬にエサを与える時に
毎回ベルを鳴らしてから
与えていると、
そのうちベルを鳴らすだけで
唾液が出てくるようになります。
対人恐怖症の人は、例えば
「人と話すと体が震える」場合、
「人と話す」という
何でもない行為が、
人と話すことで、
「バカにされている」
「攻撃される」
「見下されている」
などの悪い条件に
無意識に結びつき、
「体が震える」という
症状が出るように
勝手に刷り込まれている状態です。
これは今
悪い条件付けが
作られているので
系統的脱感作法を使って
「人と話す」と
「心地よさ」、「安心感」など
「良い条件付け」を新しく作って
「悪い条件付け」のつながりを
弱めていきます。
系統的脱感作法の方法
はじめに、
相談者とカウンセラーとの
信頼関係をつくります。
カウンセラーとの信頼関係が
十分にできていないと、
相談者が
系統的脱感作法に集中できず、
リラックス反応を作ることが
できなくなってしまいます。
つぎに、事前説明と
効果や目的への同意です。
系統的脱感作法の流れや意味、
目的や期待される効果について、
十分な理解を得ることが大切です。
それから、階層表を作成します
不安・緊張・恐怖を
どんな場面で感じるかを
聞き出します。
同じような場面は
ひとつにまとめて、
10の場面にまとめます。
また、場面はできる限り
具体的にしておきます。
さらに、それぞれの場面での、
不安・緊張・恐怖を
0~10点で評価します。
会社で全員の前で話す | 100 |
仕事で失敗する | 90 |
仕事の上司と会話をする | 80 |
初対面の人とずっと会話をする | 70 |
友人と一日話し続ける | 60 |
知らない人に一言話しかける | 50 |
外に出て走る | 40 |
外に出て歩く | 30 |
コンビニ店員話しかける | 20 |
友人と話す | 10 |
最後に、リラックス反応を
引き出す練習をします。
これには
漸進的筋弛緩法という手法を
用います。
漸進的筋弛緩法
(ぜんしんてききんしかんほう)は、
筋肉の
「力を入れる」と「力を抜く」を
何度も行うことにより
緊張をほぐし
リラックスに導く手法です。
①:こぶしや腕など全身各部の筋肉に
数秒間グッと力を入れ緊張させます
②:力を抜き約20秒間、
筋肉が緩んでいく感覚に
意識を向けます
③:全身の各部位ごとに
①と②を繰り返し、
筋肉が緩んでいく感覚を
覚えていただきます。
この感覚が、
リラックス効果となります。
系統的脱感作法の手順
・はじめに、
リラックスできる椅子に座るか、
仰向けに寝転びます。
・弛緩状態
(リラックス感、心地よさ、安心感)を
感じられたら、
目をつぶったままで
どちらかの手の
人差し指を上げて
合図してもらいます。
・階層表中で
点数が一番弱い場面を
イメージしてもらいます。
・不安・緊張・恐怖を感じたら、
その強さを
点数で答えてもらいます。
・もう一度、
漸進的筋弛緩法を行います。
・弛緩状態が得られたら
指で合図してもらい、
不安・緊張・恐怖の強さを
点数で答えてもらいます。
不安・緊張・恐怖の強い場面の
点数が0点に落ちるまで、
あるいは相談者が「もう大丈夫」と
感じるまで
上記の手順を繰り返します。
・階層表のレベルを
一つずつ上げた場面に
取り組みます。
最終的に、
もっとも不安・緊張・恐怖の
強い場面の点数が
0点に落ちるまで
この手法を繰り返します。
点数が0点に落ちない場面では、
同じ刺激場面を
数回繰り返しましょう。
点数が完全に
0点に下がらなくても、
相談者が「もう大丈夫」と感じれば
次の刺激イメージにすすんで
大丈夫です。
いかがでしたでしょうか?
対人恐怖症だけでなく、
人間の様々な恐怖症の改善にも
使うことができます。